「続・アメフラン物語」 -第2章【愛のある言葉】-

「続・アメフラン物語」 -第2章【愛のある言葉】-


心地良い午後の日差しと、穏やかな風が吹き抜ける峡谷…

シェディーたちが村を訪れた頃、辺りは夕日に染まっていた。

広場では、村人の歩く姿があった。


 シェディー [42]
 「村人が普通に歩いてるという事は、もう取引きが終わったのか? それとも…。」

 こもも [41]
 『盗賊団ってからには、やっぱ酒場が臭うでしょ。』


 シェディー [43]
 「そうだね。 (ーωー)クンクン」

 ジュエル [40]
 「臭い嗅いでるよww」


 こもも [42]
 『ここは私にまかせて。 ササッ=3=3』


こももは酒場を見つけ、慎重にして素早く移動し、入口から中の様子を見つめ、シェディー達の元へ戻ってきた。


 こもも [43]
 『なんかエラそうにしてる強そうな連中が“うようよ”居たけど、盗賊団らしき奴らは居なかったよ。』


合点のいかない様子のシェディーだったが、落ち着いてこう言った。

 シェディー [44]
 「それじゃあ、これだけ普通に村人が歩いてるんだから、二手に分かれて聞き込みしてみよう。」


 こもも [44]
 『ジュエルさん行くよ。』

 ジュエル [41]
 「あ、はいw (こももさん早いな~w)」


 夏美 [37]
 「私達はあっち側から行きましょう。」

 シェディー [45]
 「そうだね。」




 シェディー [46]
 「あの~、ついさっき、ここで何か起こりませんでしたか?」

 村人
 「あ~、さっきね、背の高い男が縛られてね。

  橋の上から盗賊団の親方に斬られて、川に落ちてったよ。

  まさかあの親方が、人殺しするなんてね~。 あたしゃもう信じらんないよー。

  名前は盗賊団だけど、やってる事は村の自衛団なんだよね。

  悪い連中をやっつけたりしてくれるんだけど、酒場に居る連中はさすがに強いみたいだね~。」


シェディー達は耳を疑っていた。

そして、“一足遅かった” という後悔の念が、彼らを襲っていた。

夏美は、その場で泣き崩れ、シェディーは、その場にぼう然と立ち尽くしていた。


 シェディー [47]
 「アメ…、お前って奴ぁ~ やっぱりお前は、仲間の為なら…、全速力で駆け付けるんだな…。 」


こももとジュエルも、同じ事を村人に聞かされていたようで、

ジュエルは、こももの腕の中で泣いていた…。


 こもも [45]
 『どうやら、アメさんを斬った盗賊団の親方は、あの屋敷にいるみたいね。』


シェディー達と合流したこももは、大きな屋敷をゆび差した。


 こもも [46]
 『アメさんはきっと生きてるよ^^ 私には分かるよ。』

気丈なこももは、その優しい両手と言葉で、3人を励まし続けた…。


 こもも [47]
 『ちょっと偵察してくるね。』


ようやく落ち着きを取り戻した3人にそう言うと

こももは屋敷の庭に忍び込み、窓から内部を様子見た。

すると、家の中には、傷ついた3人がベッドに寝ている姿と、看病する人の姿が目に入った。

よく顔を見ると、顔が腫れあがっていて確認しづらいが、顔見知りのような気もしてきた。


 シェディー [48]
 「どうでした?」


戻ってきたこももに尋ねると…、その返答を聞いた3人は驚いた。


 シェディー [49]
 「なんですってー! それじゃあ、捕まっているのはうちのメンバー?

  でも、なんで看病なんか…?? よしっ!オレがこももさんと一緒に確認してきます。」


シェディーが言う前に、こももはジュエルと夏美の手を引っ張り、先に行っていたw


 シェディー [50]
 「あ、あのぅ…w (やっぱオレってこういうポジションなのかな?w)」


シェディーは1人さみしく、背中を丸めてコソコソ歩く、3人の可愛らしい後ろ姿を眺めていた…。



こももは2人を静かに誘導し、室内を確認させた。

 こもも [48]
 『どう? あの人達、あんた達のメンバーじゃない?』

 ジュエル [42]
 「うん、たぶんそう。」 


 夏美 [38]
 「うん。 パベルさん、メイさん、それにキャデさん…。

  それにしても… ひどいやられようね。 でも、看病してくれてるって、どういう事なの?」

 こもも [49]
 『私が思うにはね…、ここの盗賊団は悪い人達じゃないと思うの…。 あっ!あっちに戻ってから話すわw』


シェディーの元に戻った3人は…。


 こもも [50]
 『2人に確認してもらったら、やっぱりアンタ達のメンバーだったわ。』

 シェディー [51]
 「そうでしたかーっ! じゃあ、なぜ看病を?」


 こもも [51]
 『私が思うにはね。 ここの盗賊団は人殺しをするような悪い人達じゃないと思うの。

  だから、なんかの理由であーなった3人を保護してるって訳。

  でもあの傷は明らかに、誰かにやられた傷よね…。』


 シェディー [52]
 「うちのギルドに貼られてあったクエストには、“盗賊団の殲滅”って内容でした…。

  !! …分かったような気がします!

  この事件の犯人が、誰なのかをーっ!!

  じっちゃんの名に懸けてーっ!w」


 ジュエル [43]
 「アンタいったい誰なのさーっ!ww」


 こもも [52]
 『じじじじ、じじじじ、事件ですってー!w (え? じゃっちゃんって誰の事?w)』

 ジュエル [44]
 「じーっ(なんかこももさんって、シェディさんに似てきた?w)」


この2人も、「いいコンビだな~」と、ジュエルは心の中で思ったw


 夏美 [39]
 「私にも分かりました。 犯人が誰なのか。」

 シェディー [53]
 「夏美さんは3人の顔を見てるから、もう誰だか分かってるよね…。」


 夏美 [40]
 「うん。…ラルフ。」

 ジュエル [45]
 「!! ラルフが…。 なんで…、なんでそんな事するんだよー! 仲間なのにー><」


 シェディー [54]
 「くそっ!もっと早く手を打っておけば…。 なんとなく臭ってたんだがなー。

  あいつの事だ…、ギルドごと乗っ取るかも知れねぇ。」

 夏美 [41]
 「私達を助けてくれたギルドを…、あいつが…。」


普段おとなしい夏美だが、この時ばかりは溢れる感情を抑える事が出来なかった。


 夏美 [42]
 「マスターとアメさんのギルドは、誰にも渡さないっ! 私はアメさんを探します!!」


ギルドの事になると熱くなる…。 どうやら彼女の過去と何やら関係があるようだ。


 ジュエル [46]
 「あたしも一緒に行くよ! 夏美さんとは、ずっーと一緒なんだからねっ!^^」

 シェディー [55]
 「…よしっ! まずは、屋敷の者に話を聞こう。」


 こもも [53]
 『…。 (ここは見守るとするか^^)』


こももは、普段おとなしかった夏美が、“仲間に対してこんなに熱くなれるんだ” と、少し感心していた。


コンコン=3


シェディーは玄関から堂々とドアを叩いた。

すると屋敷内から、執事と思(おぼ)しき男性の声が聞こえてきた。


 執事 [1]
 「どちらさまでしょうか?」


背の高い執事がシェディー達の目の前に現れた。


 シェディー [56]
 「ギルド“カイト・キャッツ”の者ですが、ここの主(あるじ)は居ますか?」

 執事 [2]
 「主は今、出かけております。 どのような御用件でしょうか? 差し支えなければおっしゃって下さい。」


 シェディー [57]
 「アメを探しているんだ。」

 執事 [3]
 「…! …アメ様の事でしたら、わたくしが御説明を致します。

  旦那様は、アメ様が飛び降りる直前に、刺し殺したフリをし、

  両手の縄を先に切っておいて、レビテーション(数センチ程の浮遊魔法)を使えるようにしたのでございます。

  詳しい事は屋敷でお話しします。 どうぞこちらへ。」


不安だった4人の表情が、安堵の表情に変わった。

執事は4人を屋敷内へと案内した。


仲間のいる部屋の前に来ると、夏美はベッドに駆け寄った。

 夏美 [43]
 「もう大丈夫よ。」


夏美は祈り、そして回復魔法を唱えた。

すると、瀕死だった3人の傷が見る見るうちに消えてゆき、顔色も元に戻った。


 夏美 [44]
 「ふぅ。」

 シェディー [58]
 「さすが夏美さんだね。」


 こもも [54]
 『すごい能力だ! もう僧侶級じゃん、この回復呪文ってば。』

 ジュエル [47]
 「…あっ。 う、うん^^;」


ジュエルは思い出していた。 夏美と出会った頃の事を…。


 パベル [1]
 「済まない…。 オレがもっとしっかりしていれば…。 …あれ? ラルフは?」

 シェディー [59]
 「お前らを放って…、逃げたよ。」

 パベル [2]
 「そんなっ…。」 下を向く3人。


 シェディー [60]
 「ラルフは…、仲間を見捨てていく奴だったんだ。

  アメはな~、絶対に仲間を見捨てたりしないぞっ!

  アメがお前たちと人質交換にこの村へ来たんだ…、そして、川から落とされ、行方不明だ。」

 パベル [3]
 「なにっ!」


 シェディー [61]
 「オレ達は、この後、アメを探すつもりだ。」

 パベル [4]
 「じゃあオレ達も!」


 シェディー [62]
 「ダメだ。 お前たちには、手薄になったギルドを守ってもらう。」

 パベル [5]
 「……、…わかった。」


 シェディー [63]
 「執事さん、3人を一晩だけ、泊めてやって下さい。 お願いします。」

 執事 [4]
 「わかりました。」


 シェディー [64]
 「明け方に出発するんだ。 酒場にはまだ傭兵達がいる。 気付かれずに出るんだぞ。」

 パベル [6]
 「ああ。」


ガチャ!

玄関の扉が開いた。


 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 


しばらくして、目の前に現れたのは、手下を連れた盗賊団の親方だった。


 盗賊団の親方 [1]
 『オレは盗賊団のリーダー。 もしかすると…、アメさんの事で…?』

 シェディー [65]
 「そうだ…。」


盗賊団の親方は、ベッドの方を見て驚いた。

 盗賊団の親方 [2]
 『ど、どういうこった…。 3人とも、元気になってるじゃねぇか!』


シェディーは夏美を見て、

 シェディー [66]
 「夏美さんは司祭でありながら、僧侶級の回復ができる。」

 盗賊団の親方 [3]
 『そうか。 ありがとう。 夏美さん。』


シェディー達3人は思った。 “この人、悪い人じゃない”、と。


 盗賊団の親方 [4]
 『オレの名はバルガスだ。 このたびは、本当に申し訳ない事をした。 だが、アメさんは生きてる。』


シェディーは一瞬思った…、「ドワーフなのに、なぜ名を名乗ったんだろう?」と。

ドワーフ族というのは、体格に似合わず用心深い性格で、ごく親しい者にしか本名を明かさないのだ。


 シェディー [67]
 「さっき、執事さんから、アメは生きているという話は聞きました。

  でもなぜ? アメにそんな無茶な真似を!?」


シェディーは強い口調でバルガスに詰め寄った。

しかし、それを制止したのは、こももだった。 こももは首を横に振った。


 シェディー [68]
 「…??」

 バルガス [5]
 『確かに、アメさんを橋の上から落としたのは、このオレだ。

  だが、アメさんを助ける方法は、それしか無かった…。

  奴らに脅されてたんだ…。

  ヘタな真似をすると…、村人やオレの娘、そこで寝てる3人も殺されてた。』


 シェディー [69]
 「!! (どこまでも卑劣な奴め…。)」


シェディーはこももの顔を見て、こももが先ほど取った行動の意味を理解した。


バルガスもまた、心が痛んでいたのだ。

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【数十分前の村】

シェディー達の来る少し前、アメはこの村を訪れていた。


村の入口にある桟橋には、傭兵らしき男達の姿があった。

「中に入れ」と促されたアメは、大きな広場に出ると、眼前には…、

盗賊団の親方らしき男が、まるでアメを待っていたかのように椅子に座っているのが見えた。

がたいの良さと肌の色から、ドワーフ族だと一目で分かった。


両脇には側近らしきドワーフ族の男と、その周辺には、背の高い傭兵の姿が何人かあった。

その後ろには、後ろ手に縛られた3人の姿があった…。


 アメ [15]
 「パベル、メイ、キャデ…」

アメはつぶやいた。


 アメ [16]
 「ギルド“カイト・キャッツ”のアメだ…。 カネは持ってきた。 今すぐ仲間を解放しろ!」


前の方に居た傭兵の2人がアメに近づいてきた。


 アメ [17]
 「仲間を先に解放しろ!」

 近づいてきた傭兵 []
 「状況をよく理解していないようだな。」


アメは何やら違和感を感じていた。


 アメ [18]
 「…。(ケチな盗賊が、傭兵を何人も雇うか? それにうちの仲間が3人しか居ない…。)」


傭兵は両脇からアメを掴み、金を奪い取り、アメの両手を後ろで組ませ、縄で縛った。


 盗賊団の親方 [6]
 『アメ、仲間はお前と交換だ。』

 アメ [19]
 「…わかった。 仲間を先に放せ!」


 盗賊団の親方 [7]
 『おいっ。』


手下達は縛られた3人を自由にした。

しかし、3人はひどく痛めつけられているようで、立ち上がる事も、言葉を発する事も出来ないでいた…。


 アメ [20]
 「おいっ! 大丈夫かっ!? しっかりしろっ!!」


アメは大声で叫んだが、3人からの返事は無い…。 

アメの言葉が聞えていたかもしれないが、返事できる状態では無いようだ。


見た感じ、どうやら意識はあるようだ。

アメは悔しさをにじませながらも、少しほっと胸をなでおろした。


 アメ [21]
 「もう1人はどうした?」

 盗賊団の親方 [8]
 『ん? そーいや1人逃げてったなー。』


 アメ [22]
 「そうか…。」


アメはふと思った。

仲間を助けるために取った行動ならいいが…、

仲間が逃がしたのか、自分から逃げだしたのか? …それとも。


徒歩ならギルドまでは時間が掛かるが、ギルドには帰っていなかった…、道中でも会わなかった。

途中で傷を癒したのか、それとも力尽きたのか?

思う事は色々あったが、今はここにいる仲間の命の方が大切だと、ふと我に返った。


 アメ [23]
 「そこの3人の身の安全が保障されるのなら、私はどうなっても構わない。

  私の命で仲間を守れるというのなら、喜んで死のう。 さあ、好きにしろ。」

  盗賊団の親方は一瞬、なぜか驚いた表情を見せた。


 盗賊団の親方 [9]
 『…そうか。 ならアメ。 お前には、消えてもらう。』

 アメ [24]
 「わかった…。」  アメは遠くの仲間を見て、心の中でつぶやいた 「(みんな、生きろよ…。)」


仲間にそう告げると、盗賊団の親方の指示で、アメは橋の方へと歩いていった。

橋までもうすぐという所で、親方は手下達を制止し、アメと2人で歩きだした。

橋に着くと、親方は口を開いた。


 盗賊団の親方 [10]
 『オレの名は、バルガスだ。』


アメは驚いた。

今日会ったばかりの男に対して、盗賊団の親方は自分の名を明かした。


 アメ [25]
 「なぜ、名を…。」

 バルガス [11]
 『ふふ、知っていたのか、ドワーフ族の事を。』


 アメ [26]
 「ああ。 ギルドにいると、色んな種族との交流があるからな。」
         
 バルガス [12]
 『…ある男からの依頼でな。 ここでお前を殺せとの事だった…。

  だが、オレは最初からお前を殺すつもりは無かった。

  お前の“仲間を想う心”を見て、ますますお前を死なせたくないと思った…。』


 アメ [27]
 「…そうか。」

 バルガス [13]
 『お前…、知ってたのか?』


バルガスは驚いた。


 アメ [28]
 「私は見ての通りエルフ族だ。 心が弱っている者は、感じ取る事が出来るんだ。 でも詳しい事は分からん。」


バルガスは、しばらく考えた後…、


 バルガス [14]
 『オレには娘がいてな…。 だが、ある街で盗賊団の連中に誘拐されちまってな。

  生き別れになっちまったんだ。 ははっ、なんでこんな話すんだろなオレは…。』


バルガスは、悲しげな表情を見せていた。


 バルガス [15]
 『それで俺もこうやって、盗賊団を作り、娘を探す旅を続けてるのさ…。でも、てんで見つかりゃしねぇ。

  でもつい最近…、フードを被った中年の男がこの村に来てな…。』


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【バルガスの回想】

 フードの男 [1]
 「娘の命が惜しくば、一仕事やってもらおうか。」

 バルガス [16]
 『なにっ!? おいっ! 娘はどこなんだっ!?』


バルガスは、即座に立ち上がって娘の居場所を聞いた。


 フードの男 [2]
 「答えはどうなんだ?」


傭兵連れの男は、バルガスとは打って変わってクールな男だった。


 バルガス [17]
 『…、話を聞こう。』

 フードの男 [3]
 「ここに、ギルド“カイト・キャッツ”の4人連れが、お前たち盗賊団を襲いに来る。

  心配するな…、俺の傭兵が2人もいれば充分だ。

  そいつら3人を、立てなくするまでボコボコにする。

  残りの1人は勝手に逃げるが放っておけ。

  そして仲間を助けに、リーダーのアメというエルフがやってくるだろう。

  身代金をもらったら、3人と人質交換して、アメを殺せ。

  細かい段取りは、傭兵に伝えてある。 どうだ?やるか?」


 バルガス [18]
 『なにも殺さなくても。』

 フードの男 [4]
 「殺さなければこの仕事は成立しないぞ。」


 バルガス [19]
 『むむぅ』

 フードの男 [5]
 「ふっ。 この街の者も、えらくお前を気に入っているようだな…。 村人の前で人殺しは嫌か?

  …なら、入口の橋の上で斬り殺してから川に突き落とせ。 それならそんなに汚れんだろ。」


 バルガス [20]
 『…わかった。(すまない、アメとやら。)』

 フードの男 [6]
 「もし、アメを殺さなかった場合は、村人の命も無いものと思え。」


 バルガス [21]
 『村人は関係ないだろ!!』

 フードの男 [7]
 「俺達には関係あるんだよ。

  まあ、アメさえ殺せば、娘は連れて来てやるよ。 タダとはイカンがな。」


 バルガス [22]
 『くっ、…わかった。』


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 アメ [29]
 「という事は、裏切りか…。 そーか、ギルドを乗っ取るつもりだったのか…。

  …バルガス、もういいんだ。 迷わず斬ってくれ。 …娘さんに会えるといいな。」


バルガスは感づいていた。 フードの男の言う“娘の話”は、嘘だという事を。

アメは、思っていた。 バルガスが娘に会える可能性は、低い事を。


今バルガスと協力しても、無防備な仲間3人がいる中だと、傭兵たちに全滅させられる。

自分が逃げると、バルガスも仲間3人も助からない。


そして、自分が死んでしまうと…、ギルドと仲間は、どうなってしまうのか…。

ギルドを出発した時から、ギルドが無くなる覚悟はできていたが、何よりも仲間の事が心配だった…。


バルガスはアメに無言で歩くよう促した。 長話をし過ぎると、あやしいと感づかれるからだ。

2人は橋の真ん中まで、無言で歩いた。


 バルガス [23]
 『アメ…、お前の仲間は、俺が責任をもって守ってみせる。

  …別れる前に、最後に“頼み”がある。 “俺の娘を探してきてくれないか?”』

 アメ [30]
 「この高さからだと、斬られた状態では助からないだろうけどな。」


 バルガス [24]
 『俺が斬ったフリをするから、お前は芝居をして飛び降りろ。

  この高さだと、水面に着く前にレビテーションを掛けられるはずだ。

  致命傷は防げるだろう。 ここの川底は深いから大丈夫だ。

  下で手下も待機してる。 後でオレも行く。』


バルガスは、背中で隠すようにして、アメの両手を縛っている縄に切り込みを入れた。


 アメ [31]
 「わかった。 仲間を頼む。 それで、娘さんの名は?」

 バルガス [25]
 『バルゴ^^』


アメの瞳に写ったバルガスの笑顔は、いつまでも娘を愛おしく想う、父親らしい誇らしげな表情だった。


 アメ [32]
 「…あ、そーだ。 済まないが右のポッケに手紙が入っている。 取り出してくれないか?

  もしかしたらここに、私の親しい友人たちが来るかもしれない…。 そしたら、これを渡してくれないか。」


バルガスは、アメのポッケから手紙を取り出した。


 バルガス [26]
 『わかった…。』


そして、バルガスはアメを斬りつけたフリをして、アメは自ら川に身を投げた…。

アメの姿は、誰の目にも見えない所まで落ちて行き、川底に着水した音だけが、無情に響いていた。


仕事を終えた傭兵たちは、酒場で飲み明かそうと、意気揚々とその場から引き揚げていった。

それを確認したバルガスは、途中でアメの落とした杖を拾い、1人川へと向かい、

残されたアメの仲間3人を手下に任せ、バルガスの家で療養させる事にした。



川辺に降り立ったバルガスは、びしょ濡れになって座っているアメと、自分の手下達を見つけた。


 アメ [33]
 「どうやら助かったみたいだ^^」

 バルガス [27]
 『アメ…、済まない、危ない事をさせちまって…。』


 アメ [34]
 「いいんだよ。 それより、その手に持ってるのは、もしかして?」

 バルガス [28]
 『ああ、お前さんが置いてった杖だ。』


 アメ [35]
 「良かった、それが無いと落ち着かないんだ。」

 バルガス [29]
 『ところで、ケガの具合は?』


 アメ [36]
 「ああ、右足の方がヒビ入ってるかもな^^ 折れちゃーいないから心配しないで。

  背の高さが災いしたのかもねw」

 バルガス [30]
 『済まん。 治療したい所なんだが、あいにく回復魔法を使える奴は居ないんだ。

  それに、もしアメさんが見つかると…、村が大変な事になってしまう。』


 アメ [37]
 「バルゴちゃんもね。 傷薬もさっき飲ませてもらったけど、効かなかったみたいだ。」


アメは立ち上がり、バルガスに言った。


 アメ [38]
 「バルゴちゃんは、必ず見つけて、ここに連れて帰ってくるよ。」

 バルガス [31]
 『済まない…。 あ、これを。』


バルガスは、娘の写真をアメに渡した。


 アメ [39]
 「かわいい子だね。 こももさんが見ると喜びそうだw

  あれ? 今どっかでクシャミの音が聞こえたような…。」


アメは桟橋を見上げていたその時、ちょうどこもも達は橋を渡っている最中だったw


ックシューンッ!!


 こもも [55]
 『ちくしょー。 誰か噂してやがんな~w』

 シェディー [70]
 「おっさんみたいなクシャミだったな~、今のw」


 ジュエル [48]
 「こももさんのクシャミって、男らしいんだよね~^^;」

 夏美 [45]
 「そ、そうだね…w」




 アメ [40]
 「それじゃ、行ってくる。」

アメは馬に乗せてもらい、杖を太ももにくくり付けた。


 バルガス [32]
 『もうすぐ夜になる。 無理しないで、まずは近くの村で傷を癒して下さい。』

 アメ [41]
 「あぁ、そうするよ。」


アメはゆっくりと馬を歩かせて、夕闇せまる川沿いを進んでいった。 それは、長い長い、旅の始まりだった。


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 シェディー [71]
 「…アメは、生きてるんだな?」

 バルガス [33]
 『ああ、生きてる。 さっきも言ったが、アメさんを助けるには、それしか無かった…。

  だから、前もって川で手下を待機させていた。 それと、川底の深さも事前に調べておいた。

  唯一の不安は、アメさんが魔法を使えるのか? という事だけだった。』


 シェディー [72]
 「ほっ=3」

 バルガス [34]
 『それでも、レビテーションを使ったとはいえ、足へのダメージは相当なもんだった。

  あいにく、回復魔法を使えるやつも居なくて…、傷薬だけじゃ、完全に治せなかったんだ。

  右足にヒビが入ってるって言ってた。』

 
 夏美 [46]
 「えっ!?」

 ジュエル [49]
 「えーっ!!」


 バルガス [35]
 『長居させちまうと奴らに見つかっちまうんで、準備していた馬に乗ってもらって、もう行っちまった。
      
  アメさんには、“仲間を守って欲しい” と、頼まれた。

  んでオレは、“娘をよろしく” と、頼んだんだ。』


 シェディー [73]
 「そんな体で…。」

 こもも [56]
 『娘?』


バルガスは、こももに娘の写真を見せた。


 バルガス [36]
 『バルゴといいます。 アメさんにも、先ほど渡しておきました。』


こももは、じっと写真を眺めていた。


 こもも [57]
 『かわぃぃ(〃▽〃)♪』


写真に抱きつく事はできないので…、代わりにジュエルを抱きしめたw


 こもも [58]
 『かわいーじゃないのよー♪』

 ジュエル [50]
 「え?w なんでわたし?^^;」


 シェディー [74]
 「…。w オレは一旦ギルドに戻って、今の状況を探りたいです。

  皆の事も心配だし…、それに、マスターの御容態も…。」

 夏美 [47]
 「わたしは…、今すぐ川に降りて、アメさんを追いかけたいです!

  今すぐ回復してあげないと!」


 ジュエル [51]
 「う~ん…。」


ジュエルは外を眺め、少し考えていた。 


 こもも [59]
 『…わたし達も、すぐにでもアメさんを追いたいよ。 でもね、外を見て…。』


窓の外の景色は、すでに夕闇に包まれていた。


 こもも [60]
 『一旦ギルドに戻って、朝を待って探す方が安全よ。 私は色々と報告しないといけないしね。

  それに、ギルドで情報収集した方が、アメさんやバルゴちゃんを探す手掛かりがあるかもしれないしね。』

 バルガス [37]
 『済まない…。』


 夏美 [48]
 「嫌です…。 わたしは追いかける!」

 こもも [61]
 『ダメよ! あせる気持ちは分かるけど、アナタにもし何かあったら、アメさんが悲しむでしょ。』


 夏美 [49]
 「でも今行かないとっ!!」


夏美の瞳には涙が溢れていた。 そして、玄関へ走りドアを開け、外に出ようとしたが…。



ぱしっ!



夏美の腕を掴んだのは、こももであった。


 こもも [62]
 『あたしは許さないわよ。 そんなわがまま。』

 夏美 [50]
 「ほっといてよっ!!」



ぱしっ!!!



こももは夏美の頬をはたいた。

夏美はあまりの急な出来事に驚き、頬を押さえうつむいた。


 こもも [63]
 『ほっとける訳ないじゃないっ!』


夏美は、はっとして顔を上げ、その瞳からは、大粒の涙が溢れ出した。

座り込んだ夏美を、こももはぎゅっと抱きしめた。


 こもも [64]
 『なっちゃんは…、あたしの大切な仲間なんだからっ。』


その温かい手の平は…、夏美の寂しげな背中を優しく、優しく、さすっていた。

こももの“愛のある言葉”は、夏美の心にちゃんと届いていた。

それはまるで、アメを助けられなかった悲しみまでも、包み込むように…。


ジュエルは、自分の事のように、一緒に大粒の涙を流していた。

そしてシェディーの頬にも、一筋の涙が光っていた。


この光景を見たバルガスは、シェディーにある手紙を渡した。


 バルガス [38]
 『アメさんが、親しい友人が来たら渡して欲しいと言っていた。 たぶん、お前さん達の事だろう。」

  アメさんは、飛び降りる前に、こう言ってた。

  “そこの3人の身の安全が保障されるのなら、私はどうなっても構わない。

  私の命で仲間を守れるというのなら、喜んで死のう。


  彼は、仲間のために、死ぬと言った。

  この世の中、中々そういう奴は居ないんだがな…。』


 シェディー [75]
 「アメ…。

  …仲間のいない未来なんて、考えられない。

  アメのいない未来なんて考えられない!」

 ジュエル [52]
 「シェディさん…。」


シェディーは読み終えた手紙を、ジュエルに渡した。

ジュエルは夏美たちの元へと歩き、3人で読めるように、しゃがんで手紙を広げた。


 バルガス [39]
 『それと、アメさんの持っていた杖は、さっきアメさんに渡しておきました。』

 シェディー [76]
 「あれは…、オレがやつに挙げた物なんだ。

  …“癒しの杖”、自分の魔力を使って、仲間の傷だけを癒すことができるんだ。

  僧侶系じゃなくても、魔力で回復できるってアイテムだ。

  自分の回復が出来ないのが難点だが、そういう所はアメにはちょうどイイんじゃないかな、と思って…。」


【アメからの手紙】

シェディーへ
  昔みたいに、一緒に戦えなくてごめん。 皆の事、頼んだぞ! その自由な心で。

夏美さんへ
  これからもずっと…、ずっと、一緒にいれなくて、守れなくて、ごめんね。 その優しい心を皆に。

ジュエルさんへ
  楽しく冒険できなくなって、ごめんね。 またワイワイやりたかった。 その明るい心を皆に。 

そして、こももさんへ
  ギルドは違えど、いつも感謝です。 ジュエルさんと夏美さんをよろしくお願いします。 その温かい心で。


 = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = 


 シェディー [77]
 「まだ終わってないぞ、アメ。 必ず、お前を見つけてみせる!」

 ジュエル [53]
 「うんうん。 まだ終わりじゃないよ^^」

 夏美 [51]
 「きっと見つけるよ。」


 こもも [65]
 『あたしは、2人の悲しい顔なんて見たくないからね。 シェディーさんのは見たいけどww』

 シェディー [78]
 「なんですってーっ!w」


 ジュエル [54]
 「ふふ^^;」

 夏美 [52]
 「ふふふ^^」


こももは、座り込んでいた夏美の手をつないで、一緒に立ち上がり、2人を呼んだ。


 こもも [66]
 『絶対にアメさんを見つけてみせるわ!』


 「おーっ!!」


4人は中央で手を合わせ、固く誓った。 アメにまた会えると、信じて…。


 こもも [67]
 『あっ! ついでにバルゴちゃんもw』


 「おーっ!w」


 シェディー [79]
 「ついでなんだw (…うん、言われてみれば確かについでだw)」


こももは、バルガスから譲り受けたバルゴの写真を見つめ、つぶやいた。


 こもも [68]
 『ボソッ (ごめんね。ついでだけど、必ず見つけてあげるね。)』


シェディーは、こそっとその光景を見ていた。 (コソコソw)


 シェディー [80]
 「(可愛いものには目が無いって事か~…。 もしや3番目の標的か!?w)」

 ジュエル [55]
 「あっ、ちょっと待っててね。」


ジュエルは屋敷の中に入っていった。


ガチャ♪


 ジュエル [56]
 「ちょっとだけ、お邪魔しますねっ^^;」

 執事 [5]
 「あ、はい。」


 ジュエル [57]
 「あ、そだそだ。 執事さんの名前はなんていうの?w」

 執事 [6]
 「そう申されましても。 わたくしは執事と呼んで頂ければそれで…。」


 ジュエル [58]
 「じーっ。」

 執事 [7]
 「そ、そんなに見つめられると…。 わ、わかりました。」


執事は、渋々だったが、自分の名前を明かした。


 執事 [8]
 「わたくしは、キューレと申します。」

 ジュエル [59]
 「へぇ~、変わった名前だね~w」


 執事 [9]
 「う。(言わなきゃよかったTT)」

 ジュエル [60]
 「あ、でもイイ名前だね^^;」


 執事 [10]
 「あ、ありがとうございます。 (後から言われても…。)」

 ジュエル [61]
 「じゃぁね~^^ノ」


(テッテッテッ=3=3)

ジュエルは3人が寝ている部屋に走った。


(スタッ=3=3)

突然現れたジュエルに、3人は驚いたが、その部屋はすぐに笑いで包まれた。


 パベル [7]
 「わわっw ジュエさん何なの急に~^^」

 ジュエル [62]
 「パベルさん、メイさん、キャデさん、元気になって良かったね^^

  んじゃ、気をつけて帰るんだよ~。 んじゃまったね~^^ノ」


 パベル [8]
 「うん^^ ありがとう。 またね~^^ノ」

 メイ [1]
 「ありがと~またね~^^ノ」

 キャデ [1]
 「ありがと~! まったね~^^ノ」


部屋を出たジュエルは、

 ジュエル [63]
 「キューレさん、お邪魔しました~w まったね~^^ノ」

 キューレ [11]
 「あ、はい。 お気をつけて行ってらっしゃいませ。」


どんな人にでも、変わりなく深々と礼をする執事、キューレであった。


そして、4人は暗くならないうちにギルドへ着くため、

バルガスにベッドで寝ている3人を託し、すぐさま村を出て、休ませていた馬に乗った。

(帰りの桟橋、言うまでもなく、シェディーはひとりぼっちにされたw)


こももは夏美を呼び、後ろに乗せた。

 シェディー [81]
 「(くっそー! 夏美さん取られたーw) ムッキー」 ←シェディー心の叫びww

 ジュエル [64]
 「シェディさん、何くやしそうな顔してんだろ?w^^;」


 夏美 [53]
 「(こももさんの背中…、温かい^^)」

 こもも [69]
 『(な、なんか…、重いんだけどw)』


夏美とこももの身長差は、馬上でも極端だったw


 ジュエル [65]
 「こももさん、つらそうだね^^;」

 シェディー [82]
 「こももさん、変わりましょうか~(〃▽〃)♪」


 こもも [70]
 『ダメー!w』

 シェディー [83]
 「ガーンTT」

 ジュエル [66]
 「あはは^^;(わ、わかりやすいww)」


夕闇迫る中、4人は逃げるようにしてギルドに向かうのであった。





RAM WIRE 「歩み」


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