「続・アメフラン物語」 -プロローグ(序章)-
「続・アメフラン物語」 -プロローグ(序章)-
アメフラン物語から、およそ30年後、
これは、とあるギルドにおける、仲間との友情を描いた物語である。
世界は再び、戦乱の世にあった。
この世界では、人々は戦える年齢になると、
何かしらの方法で戦うすべを身につけなければ生きていけなかった。
例え女であっても、生き残るには… それしか無かった。
ギルドに加入する者の多くは、“生き残るための仕事”と考えるが、ギルド”カイト・キャッツ”という所は少し違った。
戦闘能力に特化した戦士は少ないという事もあったが、
“チームで力を合わせて戦う” というスタイルは、昔から一貫されていた。
…ある事件が起こるまでは。
ギルド「カイト・キャッツ」は、20人にも満たない小規模なギルドであった。
ある日、“仲間を助けたければ、リーダー1人で金を持って来い”という文書が、悪の組織から届いた。
どうやら、村人から依頼を受け出発した4人が、クエストをしくじったようだ。
それを読んだギルドマスターは、数分間放心状態となったが、
息子であるギルドリーダーの男を部屋に呼んだ。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
ギルドリーダー:アメ [1]
「大丈夫か?オヤジ!」 そこには、顔が真っ青になったギルドマスターがいた。
マスターは、少しためらったが…、息子に伝書を渡した。
ギルドマスター:シド [1]
『まさかアイツ等がしくじるとは…、奴等は“金とお前”が目当てみたいだ。』
アメ [2]
「仲間を見殺しには出来ない…、ボクだけで行く。」
マスター:シド [2]
『お前だけでは奴等の思うつぼだぞ…、死にに行くようなモンだ。仲間を連れて行け!』
アメ [3]
「ダメだ!それだと、捕まっている連中がヤラレテしまう!」
マスター:シド [3]
『それだと、お前がヤラレルぞ!』 マスターは立ち上がり怒鳴った。
アメ [4]
「あの4人でもダメだったんだ…。残りのメンバーじゃあ勝てないよ。 だったら犠牲は少ない方がいい。」
マスター:シド [4]
『だったらワシが行こう!』
アメ [5]
「ダメだ。 オヤジは病気だし、それにギルドを守ってもらわないと。
奴等の目的はボクだ!ボクが居なくなれば…。」
マスター:シド [5]
『ううっ。』 マスターは急に大汗を出し、胸を押さえ、そのまま倒れこんだ。
ベッドで目が覚めたマスターは、息子の顔を見つけ、つぶやいた。
マスター:シド [6]
『嫌な胸騒ぎがする…。』
アメ [6]
「ボクもだ。 このギルド自体に、危険が迫っているような…。」
「もし、ボクが戻らない…、その時には…。 守ってやってくれ、ギルドじゃなく…、仲間を。」
マスター:シド [7]
『息子よ…、…あい分かった。 皆に声掛けてゆけよ。』 息子の手を握るマスター。
アメ [7]
「ああ、わかってる。」 そして、オヤジの手を握り返すアメ。
部屋を出たアメは、2階の自室へ寄った後、1階への階段を降りた。
= = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = =
アメ [8]
「みんな、聞いてくれ。
マスターはしばらく療養に専念するため、代役として隣町の会議は私が出席する事になった。
あとの事は、頼んだぞ、みんな。」 (^-^)ノ
出発の準備を済ませていたアメは、メンバーに声を掛けていった…。
まるでそれが、別れの言葉になるかのように…。
いつも通り、2日後に戻ってくるモノと、誰もが思っていた。
アメ [9]
「爺さん、行ってくる。 元気でな。」
爺さん [1]
「おーぅ、なに言ぅとるー、すぐに帰ってくるんじゃろぃ? ふぉーっふぉっふぉっ~」
アメ [10]
「ああ…。 戻ってくるよ。」
シェディー [1]
「……。 今から緊張してんのか? 気合い入れてけよーっ」
アメ [11]
「うん 行ってくる。」
ジュエル [1]
「気をつけてね。 まあ アメさんなら大丈夫そうだけどね^^;」
アメ [12]
「うん、気をつけて行ってきますw」
夏美 [1]
「一緒に行けないの?」
アメ [13]
「うん、警備が厳しくてね。認可証を持ってる者しか行けないんだ。」
夏美 [2]
「そっか~、あさってには帰ってくるのにね。 少し心配で…。」
彼女の勘が鋭いのは、ギルドの皆が知っていたので、周りに居た者の表情が変わった。
アメ [14]
「大丈夫だって~。バシッ!と決めてくるよ~」 (^-^)
「それじゃ~みんな、行ってくるね~」 (^-^)ノ
出発したアメを見送るメンバー達。
アメの後ろ姿が消えると シェディーが2人を呼んだ。
≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡
シェディー [2]
「夏美さん、なにか嫌な予感しなかった?」
夏美 [3]
「うん。 した。」
夏美はシェディーの問いに、うつむきながら返事をした。
ジュエル [2]
「えぇー!止めようよ~。 今からならまだ間に合うよ~><」
シェディー [3]
「あいつ、うそが下手だから、俺達には見え見えなんだよな。」
夏美 [4]
「私達だけで、跡をつけてみない?」
夏美は急に顔を上げ、シェディーの顔を見つめて言った。 まるで、「お願い、一緒に来て。」と言わんばかりに。
ジュエル [3]
「うんうん」
シェディー [4]
「そうだな。」
シェディーは夏美の真っ直ぐな想いを、何の迷いもなく受け取った。
だが、しばらく考えた後、…
シェディー [5]
「でもな~、今回ばかりは、なんかヤバイ感じが…、裏が有る気もすんだよな~」
夏美 [5]
「じゃあ、みんなで行く?」
シェディー [6]
「何やら陰謀臭さがプンプンしてるんだが。それにマスターは御病気だ、ここが手薄になるのはマズイ。」
シェディーは妙に鼻の利く人間であった。
ちなみに、シェディーとジュエルの種族は人間。
アメと夏美はエルフである。
ジュエル [4]
「こももさんにお願いしてみよっか?」
夏美 [6]
「うん。 わたしもそれがいいと思う。」
シェディー [7]
「よし、そうしよう。 それじゃあ、まずはオルケスタに寄るぞ。 こっからだと、丁度通り道だ。」
ジュエル [5]
「え? 隣町は向こうだよ?」
ジュエルは、アメの行った道をゆび差した。
夏美 [7]
「アメさんは一芝居してたから、遠回りの道を行ったのよ。 向かったのは…、会議じゃなく戦場よ。」
夏美はアメの行った道を振り返って、反対側をゆび差した。
ジュエル [6]
「えぇー! なんで1人で行くんだよー><」
シェディー [8]
「あいつの性格だ。 何でも自分1人で抱え込んじまう、悪い癖だ。」
夏美 [8]
「でも…、シェディーさんもわたしも、アメさんとは似た者同士だから、気付いたのよね^^」
夏美は笑顔でシェディーに言ったが、シェディーの顔は一変し、真剣な表情になった。
シェディー [9]
「皆を守るため、誰か1人が犠牲になる…、皆の笑顔のためなら、俺でもそうしてた…。
でも、それじゃーダメなんだ! 仲間が居なくなったギルドに、笑顔なんてあるもんかっ!!
オレ達は何があっても、アメを助け出す! そして、このギルドを守るんだ!!」
夏美 [9]
「うん^^」
ジュエル [7]
「そーだそーだー^^」
シェディーの言葉で2人の士気は一気に高まった。
シェディーは“侍”であり、戦闘能力も高いが、それ以上に魅力的な能力は、このカリスマ性にあった。
ジュエルは、世にも珍しい“召喚士”という職業だが、人一倍の愛嬌(あいきょう)と明るさを持っており、
それは、“召喚するモンスターにも気に入られやすい” という事にもつながっているのではないだろうか。
この事からもシェディーとジュエルは、人間としては珍しく、エルフなどの他種族からも愛される存在であった。
3人はクエストボードから、遠隔地の簡単なクエストを受注し、いつものクエストに行く素振(そぶり)で出発した。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
シェディー [10]
「こももさんなら協力してくれそうだな。 こっちにジュエルさんがいるってのは大きいw」
シェディーは満面の笑みでジュエルを見た。
ジュエル [8]
「なにそれ~?w」
夏美 [10]
「ふたり、仲いいもんね~^^」
ジュエルさんの話題になると、自然とみんなが笑顔になるのは不思議だ。 いつも夏美はそう感じていた。
シェディー [11]
「ってことで、交渉はジュエルさんにまかせたからね。」
ジュエル [9]
「う、うん。 わかった…。 ボソッ(何だか緊張するな~ドキドキ)」
ギルド“オルケスタ”、こももが所属するギルドだ。
以前に“ギルド間交流”があり、みんな顔見知りであった。
中でも、こももはジュエルを特に気に入っており、相思相愛の仲であった。
ギルド“オルケスタ”に到着した一行。 ジュエルは恐る恐る、ギルドの門を叩いた。
コンコン=3
ジュエル [10]
「こんにちは~」
こもも [1]
『あー!ジュエルさんだーっ!! ひっさしぶりー!^0^ノ』
こももの反応の早さは、尋常のスピードではない。 相手がジュエルとなると尚更であった。
というのも、こももの種族は“ポークル”といって、小柄で俊敏性が高く、“動物的な勘”が鋭いという特徴がある。
この“動物的な勘”というのは、ポークルには劣るが、エルフも鋭い部類に入る。
夏美やアメも、エルフなので勘が鋭く、これらの種族は、犬と同じように、“心の弱っている者”が分かるという。
ジュエル [11]
「どもども^^;」
こもも [2]
『も~ 他人行儀なんだから~w』
こももは、可愛いものを見ると、抱きつく癖がある…。 もう既に、ジュエルに抱きついていたw
ジュエル [12]
「あ、あのぅ、今日はお願いがあって…w」
こもも [3]
『むむ!ジュエルさんからのお願い? わかりました! 行きます!!』
こももは即答した。 この早さもポークルの成せる技なのかは謎だ。
これがもし、他の人だったら…、こうは行かなかっただろうと、後ろで眺めている2人は思ったw
ジュエル [13]
「えぇ-!まだ何も言ってないしー!w」
こもも [4]
『ジュエルさんのお願いなら、無理な事は言わないと思うし、私はいつだってジュエルさんの味方ですからね♪』
ジュエル [14]
「ふふ^^; でも一応言っておくねw」
こもも [5]
『あっ シェディーさん、夏美さん、よろしくね~^^』
ここまで来ると、素早いのか、ただの“せっかちさん”なのかの見分けが難しいw
…複合技の可能性が高そうだw 2人ともそう思っていたw
ジュエル [15]
「はやっw (ていうか 説明する前に、もーあいさつしてるしーww)」
「こほんっ=3」
こもも [6]
『あっw^^;』
ジュエル [16]
「アメさんがピンチなの。 それから…」
こもも [7]
『んじゃ準備してくるね~w 移動中に聞く~w』
ジュエル [17]
「…ほんとにいいのかな?w 内容、全然わかってないよ、こももさんw」
シェディー [12]
「そんなにもジュエルさんと旅ができて嬉しいのかな?w」
夏美 [11]
「相当気に入られてますもんねw」
こもも [8]
『おっまた~^0^ノ いこいこ~w』
何もかもが素早く、そして…“せっかち”だw
2人とも、絶対に“複合技”だw、そう思っていたw
シェディー [13]
「オルケスタのマスターに説明してきますね。」
こもも [9]
『あ 私から言っといたから 適当に2~3日出かけるってw』
ジュエル [18]
「(勝手に2~3日って決めちゃってるしw)」
夏美 [12]
「(最低2~3日は一緒に居たいって事なのか~w)」
シェディー [14]
「でも一応、私達の方からも挨拶をしたいので^^」
こもも [10]
『わかった~。んじゃ私はジュエルさんと待ってるからね~♪』
シェディー [15]
「どうも済みません。 それじゃぁ、ジュエルさん、説明しといてね。」
ジュエル [19]
「う、うん…^^;」
夏美は思った。
夏美 [13]
「(こももさんって、いつもは落ち着いてて大人の女性って感じなんだけど、こんな顔で笑うんだな~)」と。
= = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = =
夏美はギルド間の交流イベントにも良く参加しており、ここオルケスタでの人気も非常に高い。
職業が“司祭”という事もあり、魔法は攻撃、補助、回復と使え、アイテムの鑑定もできる。
さらに種族という面でも、エルフは他種族から受け入れられやすいのだ。
よく気がつき、それに絶世の美女で、優しくて性格がいいとなれば、
引っ張りダコになるのは、誰から見てもわかる事であった。
そのためシェディーは、マスターへの謁見のリードを、夏美にお願いした。
そして…、
夏美 [14]
「オルケスタのマスターには、アメさんの事は伏せて、こももさんを2~3日の間、お借りします。
とお願いしましたが、なんか見透かされてるようでした。 マスターは最後に、こう申されました。」
“きっと大丈夫。 心から願えば、きっと叶う。”
こもも [11]
『マスターはわたしのオヤジだからね。 心が弱ってると、気付いちゃうのよね。』
夏美 [15]
「だからなんだ~」
ジュエル [20]
「っ! それで何も言わずに引き受けてくれたのかーっ!」
こもも [12]
『うふふ♪』
シェディー [16]
「ははw (いやジュエルさん、きっとそれ違うと思うw)」
夏美 [16]
「ふふ^^ (…どうなんだろう?w ただ“ジュエルさんだから”っていうだけの気もするけどw)」
こももの性格上、決してその高い能力を自慢げに披露する事は無かった。 そう、この仲間達と同じように。
ちなみに、こももの職業は“剣聖”である。
“剣聖”という職業は、性格が“中立”でなければ成れない職業であるが、
アメとこももは、“剣聖”であるにもかかわらず、性格が“善”である。
それは、“剣聖”になった後に、性格が変化したからである。
シェディー、夏美、ジュエルは3人とも性格は“善”の状態で登録、今も変わらず“善”である。
アメとこもも、2人の性格が“善”になったのは…、彼らの影響が大きいと推測がつく。
こうして4人は、ギルド“カイト・キャッツ”のリーダー:アメを助けるべく、戦地へと向かった。
RAM WIRE 「きぼうのうた」
アメフラン物語から、およそ30年後、
これは、とあるギルドにおける、仲間との友情を描いた物語である。
世界は再び、戦乱の世にあった。
この世界では、人々は戦える年齢になると、
何かしらの方法で戦うすべを身につけなければ生きていけなかった。
例え女であっても、生き残るには… それしか無かった。
ギルドに加入する者の多くは、“生き残るための仕事”と考えるが、ギルド”カイト・キャッツ”という所は少し違った。
戦闘能力に特化した戦士は少ないという事もあったが、
“チームで力を合わせて戦う” というスタイルは、昔から一貫されていた。
…ある事件が起こるまでは。
ギルド「カイト・キャッツ」は、20人にも満たない小規模なギルドであった。
ある日、“仲間を助けたければ、リーダー1人で金を持って来い”という文書が、悪の組織から届いた。
どうやら、村人から依頼を受け出発した4人が、クエストをしくじったようだ。
それを読んだギルドマスターは、数分間放心状態となったが、
息子であるギルドリーダーの男を部屋に呼んだ。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
ギルドリーダー:アメ [1]
「大丈夫か?オヤジ!」 そこには、顔が真っ青になったギルドマスターがいた。
マスターは、少しためらったが…、息子に伝書を渡した。
ギルドマスター:シド [1]
『まさかアイツ等がしくじるとは…、奴等は“金とお前”が目当てみたいだ。』
アメ [2]
「仲間を見殺しには出来ない…、ボクだけで行く。」
マスター:シド [2]
『お前だけでは奴等の思うつぼだぞ…、死にに行くようなモンだ。仲間を連れて行け!』
アメ [3]
「ダメだ!それだと、捕まっている連中がヤラレテしまう!」
マスター:シド [3]
『それだと、お前がヤラレルぞ!』 マスターは立ち上がり怒鳴った。
アメ [4]
「あの4人でもダメだったんだ…。残りのメンバーじゃあ勝てないよ。 だったら犠牲は少ない方がいい。」
マスター:シド [4]
『だったらワシが行こう!』
アメ [5]
「ダメだ。 オヤジは病気だし、それにギルドを守ってもらわないと。
奴等の目的はボクだ!ボクが居なくなれば…。」
マスター:シド [5]
『ううっ。』 マスターは急に大汗を出し、胸を押さえ、そのまま倒れこんだ。
ベッドで目が覚めたマスターは、息子の顔を見つけ、つぶやいた。
マスター:シド [6]
『嫌な胸騒ぎがする…。』
アメ [6]
「ボクもだ。 このギルド自体に、危険が迫っているような…。」
「もし、ボクが戻らない…、その時には…。 守ってやってくれ、ギルドじゃなく…、仲間を。」
マスター:シド [7]
『息子よ…、…あい分かった。 皆に声掛けてゆけよ。』 息子の手を握るマスター。
アメ [7]
「ああ、わかってる。」 そして、オヤジの手を握り返すアメ。
部屋を出たアメは、2階の自室へ寄った後、1階への階段を降りた。
= = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = =
アメ [8]
「みんな、聞いてくれ。
マスターはしばらく療養に専念するため、代役として隣町の会議は私が出席する事になった。
あとの事は、頼んだぞ、みんな。」 (^-^)ノ
出発の準備を済ませていたアメは、メンバーに声を掛けていった…。
まるでそれが、別れの言葉になるかのように…。
いつも通り、2日後に戻ってくるモノと、誰もが思っていた。
アメ [9]
「爺さん、行ってくる。 元気でな。」
爺さん [1]
「おーぅ、なに言ぅとるー、すぐに帰ってくるんじゃろぃ? ふぉーっふぉっふぉっ~」
アメ [10]
「ああ…。 戻ってくるよ。」
シェディー [1]
「……。 今から緊張してんのか? 気合い入れてけよーっ」
アメ [11]
「うん 行ってくる。」
ジュエル [1]
「気をつけてね。 まあ アメさんなら大丈夫そうだけどね^^;」
アメ [12]
「うん、気をつけて行ってきますw」
夏美 [1]
「一緒に行けないの?」
アメ [13]
「うん、警備が厳しくてね。認可証を持ってる者しか行けないんだ。」
夏美 [2]
「そっか~、あさってには帰ってくるのにね。 少し心配で…。」
彼女の勘が鋭いのは、ギルドの皆が知っていたので、周りに居た者の表情が変わった。
アメ [14]
「大丈夫だって~。バシッ!と決めてくるよ~」 (^-^)
「それじゃ~みんな、行ってくるね~」 (^-^)ノ
出発したアメを見送るメンバー達。
アメの後ろ姿が消えると シェディーが2人を呼んだ。
≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡ ≡
シェディー [2]
「夏美さん、なにか嫌な予感しなかった?」
夏美 [3]
「うん。 した。」
夏美はシェディーの問いに、うつむきながら返事をした。
ジュエル [2]
「えぇー!止めようよ~。 今からならまだ間に合うよ~><」
シェディー [3]
「あいつ、うそが下手だから、俺達には見え見えなんだよな。」
夏美 [4]
「私達だけで、跡をつけてみない?」
夏美は急に顔を上げ、シェディーの顔を見つめて言った。 まるで、「お願い、一緒に来て。」と言わんばかりに。
ジュエル [3]
「うんうん」
シェディー [4]
「そうだな。」
シェディーは夏美の真っ直ぐな想いを、何の迷いもなく受け取った。
だが、しばらく考えた後、…
シェディー [5]
「でもな~、今回ばかりは、なんかヤバイ感じが…、裏が有る気もすんだよな~」
夏美 [5]
「じゃあ、みんなで行く?」
シェディー [6]
「何やら陰謀臭さがプンプンしてるんだが。それにマスターは御病気だ、ここが手薄になるのはマズイ。」
シェディーは妙に鼻の利く人間であった。
ちなみに、シェディーとジュエルの種族は人間。
アメと夏美はエルフである。
ジュエル [4]
「こももさんにお願いしてみよっか?」
夏美 [6]
「うん。 わたしもそれがいいと思う。」
シェディー [7]
「よし、そうしよう。 それじゃあ、まずはオルケスタに寄るぞ。 こっからだと、丁度通り道だ。」
ジュエル [5]
「え? 隣町は向こうだよ?」
ジュエルは、アメの行った道をゆび差した。
夏美 [7]
「アメさんは一芝居してたから、遠回りの道を行ったのよ。 向かったのは…、会議じゃなく戦場よ。」
夏美はアメの行った道を振り返って、反対側をゆび差した。
ジュエル [6]
「えぇー! なんで1人で行くんだよー><」
シェディー [8]
「あいつの性格だ。 何でも自分1人で抱え込んじまう、悪い癖だ。」
夏美 [8]
「でも…、シェディーさんもわたしも、アメさんとは似た者同士だから、気付いたのよね^^」
夏美は笑顔でシェディーに言ったが、シェディーの顔は一変し、真剣な表情になった。
シェディー [9]
「皆を守るため、誰か1人が犠牲になる…、皆の笑顔のためなら、俺でもそうしてた…。
でも、それじゃーダメなんだ! 仲間が居なくなったギルドに、笑顔なんてあるもんかっ!!
オレ達は何があっても、アメを助け出す! そして、このギルドを守るんだ!!」
夏美 [9]
「うん^^」
ジュエル [7]
「そーだそーだー^^」
シェディーの言葉で2人の士気は一気に高まった。
シェディーは“侍”であり、戦闘能力も高いが、それ以上に魅力的な能力は、このカリスマ性にあった。
ジュエルは、世にも珍しい“召喚士”という職業だが、人一倍の愛嬌(あいきょう)と明るさを持っており、
それは、“召喚するモンスターにも気に入られやすい” という事にもつながっているのではないだろうか。
この事からもシェディーとジュエルは、人間としては珍しく、エルフなどの他種族からも愛される存在であった。
3人はクエストボードから、遠隔地の簡単なクエストを受注し、いつものクエストに行く素振(そぶり)で出発した。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
シェディー [10]
「こももさんなら協力してくれそうだな。 こっちにジュエルさんがいるってのは大きいw」
シェディーは満面の笑みでジュエルを見た。
ジュエル [8]
「なにそれ~?w」
夏美 [10]
「ふたり、仲いいもんね~^^」
ジュエルさんの話題になると、自然とみんなが笑顔になるのは不思議だ。 いつも夏美はそう感じていた。
シェディー [11]
「ってことで、交渉はジュエルさんにまかせたからね。」
ジュエル [9]
「う、うん。 わかった…。 ボソッ(何だか緊張するな~ドキドキ)」
ギルド“オルケスタ”、こももが所属するギルドだ。
以前に“ギルド間交流”があり、みんな顔見知りであった。
中でも、こももはジュエルを特に気に入っており、相思相愛の仲であった。
ギルド“オルケスタ”に到着した一行。 ジュエルは恐る恐る、ギルドの門を叩いた。
コンコン=3
ジュエル [10]
「こんにちは~」
こもも [1]
『あー!ジュエルさんだーっ!! ひっさしぶりー!^0^ノ』
こももの反応の早さは、尋常のスピードではない。 相手がジュエルとなると尚更であった。
というのも、こももの種族は“ポークル”といって、小柄で俊敏性が高く、“動物的な勘”が鋭いという特徴がある。
この“動物的な勘”というのは、ポークルには劣るが、エルフも鋭い部類に入る。
夏美やアメも、エルフなので勘が鋭く、これらの種族は、犬と同じように、“心の弱っている者”が分かるという。
ジュエル [11]
「どもども^^;」
こもも [2]
『も~ 他人行儀なんだから~w』
こももは、可愛いものを見ると、抱きつく癖がある…。 もう既に、ジュエルに抱きついていたw
ジュエル [12]
「あ、あのぅ、今日はお願いがあって…w」
こもも [3]
『むむ!ジュエルさんからのお願い? わかりました! 行きます!!』
こももは即答した。 この早さもポークルの成せる技なのかは謎だ。
これがもし、他の人だったら…、こうは行かなかっただろうと、後ろで眺めている2人は思ったw
ジュエル [13]
「えぇ-!まだ何も言ってないしー!w」
こもも [4]
『ジュエルさんのお願いなら、無理な事は言わないと思うし、私はいつだってジュエルさんの味方ですからね♪』
ジュエル [14]
「ふふ^^; でも一応言っておくねw」
こもも [5]
『あっ シェディーさん、夏美さん、よろしくね~^^』
ここまで来ると、素早いのか、ただの“せっかちさん”なのかの見分けが難しいw
…複合技の可能性が高そうだw 2人ともそう思っていたw
ジュエル [15]
「はやっw (ていうか 説明する前に、もーあいさつしてるしーww)」
「こほんっ=3」
こもも [6]
『あっw^^;』
ジュエル [16]
「アメさんがピンチなの。 それから…」
こもも [7]
『んじゃ準備してくるね~w 移動中に聞く~w』
ジュエル [17]
「…ほんとにいいのかな?w 内容、全然わかってないよ、こももさんw」
シェディー [12]
「そんなにもジュエルさんと旅ができて嬉しいのかな?w」
夏美 [11]
「相当気に入られてますもんねw」
こもも [8]
『おっまた~^0^ノ いこいこ~w』
何もかもが素早く、そして…“せっかち”だw
2人とも、絶対に“複合技”だw、そう思っていたw
シェディー [13]
「オルケスタのマスターに説明してきますね。」
こもも [9]
『あ 私から言っといたから 適当に2~3日出かけるってw』
ジュエル [18]
「(勝手に2~3日って決めちゃってるしw)」
夏美 [12]
「(最低2~3日は一緒に居たいって事なのか~w)」
シェディー [14]
「でも一応、私達の方からも挨拶をしたいので^^」
こもも [10]
『わかった~。んじゃ私はジュエルさんと待ってるからね~♪』
シェディー [15]
「どうも済みません。 それじゃぁ、ジュエルさん、説明しといてね。」
ジュエル [19]
「う、うん…^^;」
夏美は思った。
夏美 [13]
「(こももさんって、いつもは落ち着いてて大人の女性って感じなんだけど、こんな顔で笑うんだな~)」と。
= = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = =
夏美はギルド間の交流イベントにも良く参加しており、ここオルケスタでの人気も非常に高い。
職業が“司祭”という事もあり、魔法は攻撃、補助、回復と使え、アイテムの鑑定もできる。
さらに種族という面でも、エルフは他種族から受け入れられやすいのだ。
よく気がつき、それに絶世の美女で、優しくて性格がいいとなれば、
引っ張りダコになるのは、誰から見てもわかる事であった。
そのためシェディーは、マスターへの謁見のリードを、夏美にお願いした。
そして…、
夏美 [14]
「オルケスタのマスターには、アメさんの事は伏せて、こももさんを2~3日の間、お借りします。
とお願いしましたが、なんか見透かされてるようでした。 マスターは最後に、こう申されました。」
“きっと大丈夫。 心から願えば、きっと叶う。”
こもも [11]
『マスターはわたしのオヤジだからね。 心が弱ってると、気付いちゃうのよね。』
夏美 [15]
「だからなんだ~」
ジュエル [20]
「っ! それで何も言わずに引き受けてくれたのかーっ!」
こもも [12]
『うふふ♪』
シェディー [16]
「ははw (いやジュエルさん、きっとそれ違うと思うw)」
夏美 [16]
「ふふ^^ (…どうなんだろう?w ただ“ジュエルさんだから”っていうだけの気もするけどw)」
こももの性格上、決してその高い能力を自慢げに披露する事は無かった。 そう、この仲間達と同じように。
ちなみに、こももの職業は“剣聖”である。
“剣聖”という職業は、性格が“中立”でなければ成れない職業であるが、
アメとこももは、“剣聖”であるにもかかわらず、性格が“善”である。
それは、“剣聖”になった後に、性格が変化したからである。
シェディー、夏美、ジュエルは3人とも性格は“善”の状態で登録、今も変わらず“善”である。
アメとこもも、2人の性格が“善”になったのは…、彼らの影響が大きいと推測がつく。
こうして4人は、ギルド“カイト・キャッツ”のリーダー:アメを助けるべく、戦地へと向かった。
RAM WIRE 「きぼうのうた」
この記事へのコメント